日本政府が掲げるGX(グリーントランスフォーメーション)投資。その規模は今後10年間で150兆円にも上るとされています。この巨額な投資は、地球温暖化対策として、カーボンニュートラルを実現するための中心的施策です。しかし、この150兆円が実際にどれほどの成果を上げるのかについては、疑問の声が少なくありません。
地球温度の低下効果はわずか0.006度
科学的な試算によると、日本が膨大な資金を投じてカーボンニュートラルを達成したとしても、地球の平均気温を下げられる効果はわずか0.006度とされています。この数値は、国際的な気候変動抑制目標と比較して極めて微小です。
再エネ賦課金の負担と中国への利益流出
さらに問題となるのが、再エネ賦課金の存在です。日本の消費者が電気料金として負担しているこの賦課金は、年間で約3兆円に上ります。再生可能エネルギーの普及を促進するための仕組みとして導入されたこの制度ですが、その多くの利益が海外、特に中国企業に流れている現状があります。
中国は再生可能エネルギー関連製品、特に太陽光パネルやリチウムイオン電池の製造で世界をリードしています。そのため、日本の再エネ推進政策によって調達される製品の多くが中国製となり、日本国内での雇用や経済成長には直結しにくい状況が続いているのです。
本当に必要なのは冷静な費用対効果の議論
こうした現実を踏まえると、果たして150兆円もの巨額な投資が正当化されるのか、真剣な議論が必要です。GX投資が環境面での効果を十分に発揮できるかどうかだけでなく、日本経済への貢献度や国際競争力の向上という観点からも検討すべきであり、また、エネルギー政策において再エネ事業以外の方法にも注力すべきです。
世界ではいま、電源を喪失してもメルトダウンしない安全な次世代原子炉「高温ガス炉」の研究が実用段階に入り、中国では2023年から商業運転を開始しています。また欧州では高温ガス炉を備えた原子力発電所に工業地帯や住宅街を隣接させることで、原子炉から出る熱エネルギーや大量に排出される水素を効率よく利用した新しい都市計画の検討に入っています。
再生可能エネルギーの賦課金を廃止し、国民生活への影響を抑えながら、より効果的なエネルギー政策を模索すること。特に日本は高温ガス炉の研究で世界をリードしており、この分野での技術開発や生産基盤の強化が重要です。これにより、外資への依存を減らし、日本の持続可能な成長を実現する道が開けます。
日本のGX投資や再エネ政策は、その理念こそ尊いものの、現実的な成果を上げるためには多くの課題が残されています。国民がその意義を納得し、未来のために投資する覚悟を持つためにも、政府は透明性のある情報公開と、費用対効果に基づいた政策の見直しを行うべきです。
LEAVE A REPLY